コロナ対策における社会全体の利益と個別の利益


世界中でコロナウイルスの感染抑制のため社会的距離を制限するために経済活動の制限、自粛が行なわれている。感染拡大による医療崩壊が起き、死者数が増大することを阻止するために必要なことだが、経済的な損害を受けている多数の人たちがいる。死者数を減らすことが社会全体にとって、経済的な損害を上回っているのなら、この措置は正しいのだろう。
しかし、社会全体の利益とそれぞれ個人の利益は一致していない。経済的な損害が小さく、感染して重症化や死亡する確率が高い人は、大きな利益があるだろうが、経済的な損害が大きく、感染して重症化や死亡する確率が低い人にとって損害が利益を上回る。ここで必要なのは、利益が得る人から、損害がある人へ、保証することで、外部効果を内部効果にすることだ。しかしながら、それぞれの人々が、個別に交渉しても、時間や労力など多くの取引費用が掛かる。また、大多数の人々が社会的距離の制限をしないと効果は少ない。そのため、利益を得る人から、損害を受ける人への補償を強制的にし、行動を制限しなければいけないが、これができるのは政府しかない。
だが、現状では政府は、行動の制限は行なっているが、経済的な損害を受ける人への補償を出し渋っている。今回のコロナの死亡率は高齢者が高く、若者はとても低い。収入が保証された首にならないサラリーマンや年金受給者は経済的な損害は少ないだろうが、子どもの世話をするために仕事ができなかったり、経済活動の制限、自粛によって仕事がなくなったり、減ったりした若い世代にとってはメリットが少ない。いつものようにもともと仕事がに就いている人は保証されるが、何か理由があって、現在、仕事に就いていない人これから職を得ようとする人は保証されない。このままいくと、若い世代は、経済の停滞によって将来の生活水準が落ち、失業率が上昇し、そのため経済苦による自殺者が増えるだろう。そして、若い世代の自殺者はコロナによる死者は、大きく上回るだろう。このまま補償をしないのならブーマーリムーバーという声が大きくなるだろう。政府は速やかに経済活動の制限、自粛によって利益を得る人から損害を受ける人への補償を政府が代わりに強制的にすることが必要だ。
そんなことをしなくても,お金を刷って配ればいいのにね。

注 経済的という意味は、貨幣で取引されるものだけではなく、貨幣で取引されないものも貨幣価値に換算されて含まれる