政府は国の大家さん

現在、新型コロナウイルスの感染を抑制するために外出の自粛と店舗の休業要請による売り上げの低下によって、賃料を払うことが困難になっている企業が多くある。
ここで、国をショッピングモールだと例えて見てみよう。ショッピングモールは、施設(道路と建物)を建設し、店舗を配置して、お客を呼び、賃料収入で運営している。
そのほかに、このショッピングモールの運営者は、従業員(お客)の住宅の持ち家や賃貸住宅の貸主に土地を貸し、道路などのインフラストラクチャーの建設や維持管理を行っている。また、自前の消防、警備組織を持ち、施設、住宅内の安全を保っている。そのため、土地の借主、建物所有者から、その対価を得ている。(実際には、政府はショッピングモールの運営者たちに土地を貸して、インフラや安全の対価をもらっている。)
ある日、ショッピングモールの中で伝染病が発生し、運営者は、感染を減らすために不要不急の来店の自粛要請、感染リスクの高いテナントの休業要請をした。(このショッピングモール以外にほかのお店がないので完全に閉鎖することはできない。)このため、来店者の減少、店舗の休業によってテナントの売り上げが減少、または、なくなっている。それと、従業員も仕事がなくなり、家賃やローンの支払いに困っている者が多数いる。
このような場合、ショッピングモールの運営者はどのようにするべきだろうか。当然、借主は賃料を払うことが困難になるので、賃料をできる範囲で減免するだろう。そして、従業員の家賃やローンの支払いを助けるため、インフラや安全の利用料を一時的になくし、貸主に減った分の家賃を下げさすだろう。
しかし、なぜか、このモールの運営者はショッピングモール全体のことを思って、感染防止策を取り、営業を制限した。このまま、放置すると多くテナントが潰れ、生活が破綻する従業員たちもいるだろう。そして、このショッピングモールは、テナントとお客(従業員)が疲弊して、賑わいが減り、将来の利益が減ってしまうのに賃料とサービスの利用料を減額しようとしない。(流動性はたくさんあるのに減額しても範囲を絞り、いろいろな条件を付けて渋っている。)
なぜだろう?政策担当者とその周辺には影響が少ないから、想像できないのだろうか。
現実では、大きな商業施設の事業者は賃料を減額している、また、都市国家シンガポールでは、商業用途の固定資産税を減免し、貸主がその分を家賃から引くことを義務化した。
しかし、シンガポールのように企業だけに払い戻しするのではなく、国民も経済的なダメージを受けているのだから感染防止策によって影響を受けている国民の負担を軽減するために商業用途だけではなく住宅用途も(そもそも区別できるの?)固定資産税,都市計画税を一時的になくし、払った分は払い戻すべきだろう。(固定資産税は、地方税で、土地、家屋、償却資産が対象である。土地、家屋は当然だが、償却資産への課税は投資を阻害するので、経済対策としてするべき。家屋も償却資産なので、将来的に固定資産税をなくし、火災などのリスクに応じて消防税にとるべき。)


現在、議論している条件だらけの複雑な家賃補助や一時的な肩代わりでは、対象の範囲が限られ、金額が小さすぎ、政策が確定するのが遅すぎる。
そのため、すみやかに日本政府は、固定資産税と都市計画税を一年間無税として、貸主には税金が減った分を家賃から引くことを義務化し、地方政府には税の減収分を補填するべきだ。

財源? 
あわせて10兆円ぐらいだから、政府紙幣でも、国債引き受けでも、なんでもいいから、インフレ率が2%になるまで刷ればいいのでは。